■「勉強する意味って何なの?」
前回、勉強する意味について少しふれ、
ポイントとして以下の点をあげました。
- 勉強する意味はあるのか、ないのか
- あるとしたら何だと考えるか、その意味に、いつどうやったら気づけるのか
- ないとしたらどうしたらいいか
- その上で、在学中にどう考えを持って勉強に臨むと良いのか
- 大学進学に対してはどう考えればいいのか
今回の記事では、まず、1つ目の点について考えます。
結論から言うと、勉強する意味はあると思います。
ただ、意味がある、得をするから勉強するという考え方は
僕はあまり良い結果を生まないと思っています。
それについてはまた後の方の記事で書いていきます
まずは、勉強をすると、具体的にどういうメリットがあるのか、
もっとざっくばらんに言うと、得をするのかどうかという視点に絞って
考えられることを書いてみたいと思います。
■勉強する意味はあるのかないのか
中学生や高校生、もっと言えば小学生からも
「こんなこと勉強したって世の中とか実際の生活では全然役に立たん」
というような主張を聞くことがあります。
というか自分も言ってたような気がします(^ ^;)
確かに、ハッキリ言って、授業でやることの1つ1つが
すべて直接的に何かの役に立つ、
あるいは、得につながるかというとそうは言い切れません。
例えば、数学の複素数とか微分・積分とか全然覚えてませんし
直接何かの役に立ったとは思いません。
でも、それでも学校で学んだことは意味があったし
直接・間接いろんな形で役に立っていると思います。
■勉強の報酬 - 著名人の例
どう役に立つのか、具体的な例を挙げてみましょう。
例えば、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ。
彼は、大学の講義でカリグラフィーについて学びました。
(厳密にいうと中退した後に自由な時間ができて
興味のおもむくままに聞き始めた講義ですが)
カリグラフィーというのは、文字をいかに美しく見せるか
文字の形についての方法論です。
学んでいた時にそれが何の役に立つとは考えておらず
興味本位で勉強していたらしいんですが、
それが後々になってマッキントッシュというフォントが美しい
コンピューターを生み出すことにつながっていったのです。
これは以前五ヶ瀬中等教育学校に行って話をしたときにも
紹介した話で、以下の動画で見れるので
興味がある人はぜひ見てみてください。
別の例として、リクルート創業者の江副さんの話。
「リクルートのDNA」という本の中で、次のように述べられています。
「私は高校の漢文の時間に出会った言葉、易経の「窮すれば変じ、変ずれば通じ、通ずれば久し」を人生の指針の一つにしていた。この例では、高校の漢文で学んだ内容が経営に役立っています。
その言葉をもっと積極的に表現したのが、
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
私が考え、これを社訓にしてはどうかと提案すると、みんなも賛同してくれた。」
(「リクルートのDNA」p22)
■勉強の報酬 - 仕事
もう少し卑近な例で自分の話で
仕事がどう役に立ったかあげてみます。
英語
例えば、英語の授業で勉強したことは今めちゃめちゃ役に立ってます。
自分は今仕事で日常的に英語で読み書きします。
(インドの開発エンジニアとメールでやりとりしてます)
また、時々ではありますが、英語で会議をしたりします。
その中で、英語の授業で勉強したことが役に立っています。
もちろん全部が全部役に立っているわけではありませんし
学校での英語教育にモノ申したいところは多々あるんですが
それでもやっぱり授業で学んだことが基礎になってなければ
今仕事で英語を使うこと、もっと言えば
今の会社に就職できていたかどうかさえ怪しいです。
英語の中では、特に発音記号が役に立ってます。
センター試験の問題とかで発音記号の問題は嫌いだったんですが
高校の時の英語の先生(なぜかカルロスと呼ばれていました)が
発音について繰り返し繰り返し練習させていました。
そのおかげで、今、仕事に支障がないくらい
リスニングとスピーキングができるようになったと思っています。
国語
役に立ったと思うのは英語だけではありません。
自社がやっているサービスを紹介する
ブログやプレスリリースを書いたりするんですが
その時に、どういう日本語表現にするかということは大事です。
その中で、「が」と「は」の使い分けに注意したりもします。
学校にいた時は、品詞の話は一番嫌いだったんですが
日本語の構造とか、助詞をどう使うかという話が
文章を書く上でかなり役立っています。
(これについては、学校であんまり真面目にやってなかったので
学び直した面もありますが…)
数学
その他にも、最初にあげた数学も役に立ったと思っています。
数学で勉強した内容そのものは直接は役に立ったかどうかは分かりませんが
数学の問題を解く上で培った能力は役に立っています。
数学では、論理的な思考力が必要とされます。
手順を追って答えを導き出す能力は、仕事でもめちゃめちゃ役に立ちます。
具体的には、何かサービスで問題が起きた時に
バグの原因を解析しますが、そこではかなり論理的な思考力が必要とされます。
ここで、数学の問題で培った能力が役立っているのです。
証明問題のような感じが近いかもしれません。
社会
あと、個人的には一番社会科が良かったなと思っています。
実利的な意味では英語とかの方が役立ってると思うんですが
社会科の方が、あー学んどいて良かったなーと思う機会は多いです。
どういう時かというと、人と話す時です。
例えば、インドに行ってインドの人と話をする時に
日本のことについていろいろ聞かれるわけです。
この時に、結構答えに詰まるような問いもたくさんあるんですが
基本的には日本史で学んだことをベースに答えたりします。
逆に、インドのことも知りたいと思って本を読んだり話を聞いたりしますが
その時には世界史の知識がベースになります。
余談ですが、以前日本に来たエンジニアに
「Ashok」という名前の人がいましたが
世界史に出てくる「アショカ王」と結びつけて
すぐ名前を覚えられました。
(基本インド人の名前って覚えづらいんですよね…)
話を戻すと、あと経営者の方には歴史に興味がある方が多いんですね。
色んな方、特に目上の方とお話をする時に
歴史の話をからめられるかどうかで話の広がりが違ってきます。
また、経営に関する話でもよく言われるのですが
自社の経営や国の今後を考える上で歴史に学ぶことはとても重要です。
その時に、歴史的素養がまったくない状態から学ぶのと
例え結構忘れているとしてもある程度の基礎があった上で学ぶのでは大きな違いがあります。
勉強する習慣
勉強の内容自体が役に立つということの他に、
勉強をする習慣をつけておくという点でも
勉強することは大事やなと思います。
学校でやったような勉強とは必ずしも重なりませんが
仕事でもいろんなことを勉強しなければなりません。
教職、その他公務員、法曹関係、医療関係をはじめ
ある種の職種においては、
そもそも勉強して試験に合格してないと仕事に就けないですし
それ以外の職種についても勉強が必須です。
僕自身も学校にいた時よりも今の方が真剣に勉強しています。
そこでは、学校で培った勉強する習慣がベースになっているので
仕事に関する勉強もスムーズにできていると思います。
こういう面でも勉強する意味はあると思います。
■勉強の報酬 - 奨学金と授業料免除
さらにもっと実利的な意味もあります。
具体的には、奨学金と就職といった点をあげてみます。
(このあたりの話は、自分自身の経験もあったのですが
もらったコメントに刺激を受けて思い出させてもらいました)
まず、奨学金。
裕福な家庭は別として、大学に進学する際に
奨学金をもらうこと多いいと思います。
大学だけでなく、高校でも必要になる場合もあります。
(僕の家もそうでした)
奨学金をもらう際には、成績が受給の要件となる場合が多いです。
例えば、育英会の奨学金をもらう際には
以下のような要件があげられています。
学力基準:引用元:大学で奨学金の貸与を希望する方へ-JASSO
(1) 高等学校又は専修学校高等課程の1年から申込時までの成績の平均値が3.5以上
(2) 高等学校卒業程度認定試験もしくは大学入学資格検定に合格した人、又は科目合格者で機構の定める基準に該当する人
http://www.jasso.go.jp/saiyou/daigaku.html (2012年2月4日 20:10取得)
特に、条件の良い無利息の奨学金を借りるには
一定の成績以上でなければなりません。
特に私立の場合は奨学金や特待生の制度があります。
僕の場合、4人兄弟ということもあって
家計のことを考えると私立という選択肢は
基本的には無かったんですが
当初行きたいと考えていた大学が私立でした。
具体的には、大分の立命館アジア太平洋大学という大学でしたが、
この大学でも奨学金の制度がありました。
引用元:奨学金 - キャンパスライフ - 立命館アジア太平洋大学 受験生向け情報サイト - apumate.net
国内学生のうち、AO入試(セミナー方式、小論文方式、活動実績アピール方式、英語基準AO方式)、特別入試(帰国生徒入学試験)、秋期入試(秋期AO入試、秋期・帰国生徒入試)、一般入試(全方式)において優秀な成績を修めた受験生を対象に4年間、授業料の50%を支給します。採用枠は45名です。
http://www.apumate.net/campuslife/scholarship.html (2012年2月4日 20:20取得)
結構行きたかったので調べてみたら、
上のように奨学金があり、授業料の50%が支給されるものでした。
これをもらえれば、国立とそこまで授業料は変わらないと計算していました。
今は枠は45名と記載されています。
当時も同じ人数だったか分かりませんが
大体そんな感じの人数やったと思います。
なので、模試の結果を見るときは、
立命館アジア太平洋大学を志望している人の中での
自分の順位を毎回気にしていました。
結局は志望校1つに絞ったので受験しなかったんですが、
私立ではこういう制度が
結構充実しているところが多いと思います。
また、国立の大学でも、奨学金はなくても
授業料免除の仕組みがあります。
これは、所得が一定以下の家庭が対象になります。
宮崎とかだと平均所得はそんなに高くないので
結構普通に当てはまる家も多いんじゃないかと思います。
そして、これも成績が考慮の要件となります。
これは、毎年申請して審査されます。
僕の場合、全額免除の時と半額免除の時がありましたが、
いずれにしても授業料を免除してもらうことでだいぶ助かりました。
その他、育英会や大学以外でも、
民間の財団などから受けられる奨学金があります。
こういった奨学金でも基本的には成績が考慮されます。
参考までに、関西大学のホームページにも以下のような一覧があります。
(検索で見つけました)
学部生対象|関西大学 学生生活支援グループ 奨学支援グループ
「民間・地方公共団体奨学金」の項を参照
http://www.kansai-u.ac.jp/gakusei/scholarship/system/college.html (2012年2月4日 20:20取得)
僕の場合、幸い、育英会の奨学金に加え、
民間企業の財団からも奨学金をもらえました。
これは、大学2年生からもらえるものでしたが、
大学1年次の成績が申し込みの要件になっていました。
これをもらえるようになったのと、
授業料免除を受けられるようになったので
学部の後半からは実家からの仕送りを減らしてもらい、
大学院では仕送りなしで、学費はすべて奨学金で賄うことができました。
この奨学金をもらえなかったら
大学院までいくのは厳しかったと思います。
正直言って、自分がこういう
奨学金や授業料免除を受けていたことは
あまり公には人に言ったりしてはきませんでした。
それは、嫌みたらしい話に聞こえるところもあると思ったからです。
ただ、コメントを読んで気付かされたんですが
確かにこういう情報って大学入学前は知らなかったので
もっと積極的に伝えていくようにした方が良いなと考えを改めて
思い切って書いてみました。
話を戻すと、勉強をきっちりやれば
奨学金や授業料免除というメリットがあると言えます。
■勉強の報酬 - 就職
次に、大学のその先の仕事について考えてみたいと思います。
学歴社会の仕組みは少しずつ崩れてきているとはいえ
未だにある程度は残っています。
例えば、ある会社の採用ページでは
東大の学生に見せるページと
他の大学の学生に見せるページを分けている
という話もあったりするそうです。
(伝聞なので本当かどうかは分かりませんが)
また、コメントでもらった点とも関連しますが
高校生より大学生の方が就職の幅が広がります。
特に、今の就職のシステムは、大学の学部新卒者にとって
一番間口が広いシステムになっています。
大学の学部新卒以外だと間口が狭くなり
正社員としての就職という選択肢が少なくなり
派遣社員としての選択肢しか残らなくなったりします。
もちろん、派遣社員が悪いというわけではなく、
ここで問題なのは選択の幅が狭まるということです。
そういうことを考えると、仕事の面では
勉強をして大学に入っておいた方が
後々選択肢の幅を広く残しておけるので
メリットがあると思います。
■今回のまとめ
以上、長々と述べてきましたが、
簡単にまとめると、勉強をする意味はあるし得があると思います。
ただ、意味がある、得があるから勉強する
という考え方は良い考え方ではないかもとは思ってます。
これについては説明が必要なので、また別の記事で書きます。
あと、ここまで書いてきて思ったんですが
「意味がある」と「得がある」はちょっと違いますね…
書いてみて気づいたんですが、どうやら僕が気にしているのは
「得があるから勉強する」という考え方のようです。
今後はそっちの方をベースに論じていきたいと思います。
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