2012年8月13日月曜日

五ヶ瀬中等教育学校卒業生インタビュー - 荒武里衣さん(9) - 研究室の先生・就職活動



五ヶ瀬中等教育学校2004年卒業生の荒武里衣さんへのインタビューの続きです。

前回は、卒業論文や修士論文についての話を聞いていきました。
今回は引き続き研究についての話の続きです。

前回の記事はこちら↓




■研究室と先生の話
―研究室はずっと一緒なんですか?

今は、もっと遺伝子の仕事ができるように、生物の遺伝子系の研究室に移りました。

修士が終わって、そこからは、遺伝子の実験の為に機械や研究室を間借りしていた生物の先生のところに移ってやってます。

でもその先生は虫が専門の先生なので、周りは海のこととは全然違うことばかりやってて、虫ばっかりなんです。セミナーとか言っても虫の話ばっかりです。虫は嫌いなのに(笑)

普通は先生の所属している学会に行ったりするんですけど、全然系統が違うので、同じ系統の学会は自分で調べないといけなかったりします。

普通とはちょっと変わった感じです。海洋生物系の学会で、「先生は誰?」って他の研究者や教授に聞かれるとちょっと困りますね。。


―面白いですねー。元々は生物の方向性で化学に行ってて、今は化学から生物の方向性に行っているという感じなんですね。元の研究室の先生とは引き続き何かやりとりはあるんですか?

それなりに…「お誕生日おめでとう」とか(笑)

その先生は、本当に良い先生でした。「琉大にいちゃダメだよ」とか言ってて。

院でも博士でも、「東大とか行ったら?」とか、他にも京大や阪大とか、別のところに行った方が良いよって薦めてて、自分の研究室なのに「こんなダメダメな研究室にいちゃダメです」って言っちゃうような先生でした。


―その先生は何で沖縄にいるんですか?

たぶん奥さんが沖縄の人だからですかね(笑)尻に敷かれている感じで(笑)元々は大阪の人です。


―いやー、でも話を聞いてるだけでも良い先生ですね。みんな読んできてるんだから、資料を読み上げるんじゃなくて違うことをやりなさいとかっていうのは、会社の会議とかでも同じ話だし、良い指導ですねー。それをちゃんと言って指導してくれるっていうのはすごい良いと思います。

論文を書く時とかも、4年生がやった実験の内容は、いくらいい結果が出ても彼ら自身が英語の論文を書くのは難しいじゃないですか。

だから、先生が書いて出すんです。ここまでは当たり前ですけど、その先生は学生の名前を必ず一番最初に書いてくれます。

科学の分野では、論文に記載される名前の順番っていうのがすごく大事で、一番最初に名前が来る人がその論文に一番関わっているっていうことなんです。

普通だったら、4年生の実験の内容で、先生が書いた論文なら、先生の名前を一番前に書きます。でもその先生は、あなたの論文ですよって、実験した生徒の名前を一番最初に書いて論文を出してくれるんです。

論文っていうのは結構シビアで、自分の名前が一番最初に書いてある論文を何本出したかっていうのは、後々すごく大事になるんです。


―良い先生ですねー。研究室を移る時は悩んだりしなかったんですか?

それは特に無かったですね。先生も「出ろ」って言ってましたし。

今の先生は結構年配で、ちょうど私と一緒に定年なんです。なので、あまり細かいことは言われずに、「責任は私がとりますよ」みたいな感じでやらせてもらってます。

研究費も、こんな研究費がありますよっていうのを、その化学の先生や、生物の先生も教えてくれて、それを修士の子や私が書いて先生の名前で申請すると、それで取った研究費は「全部あなたが使って良いですよ」っていうことで渡してくれます。良い先生です。珍しいと思います。


■就職活動と博士課程への進学
―ですねー。そして、そこから今後はどうしていくんですか?

そうなんですよね…どうしようかなーと思ってます。

実は、修士の時に就活してたんです。それで、心が折れたんです(笑)

その当時、結構厳しい状況になってて、中小企業が最初に終わっちゃう感じでした。修士1年の10月くらいから始めて、12月の時点で中小企業はほとんど終わっちゃう感じだったんです。

私は12月くらいから始めたんですけど、ほとんど終わっちゃってて、最初のエントリーシートの段階はほぼ打ち切られてました。

後は大手か、残ってる企業しか出せなかったんですけど、いろいろ出してもどんどん落とされるじゃないですか。

いくつかは面接まで行けたものもあって、それも大手っちゃ大手のところで、カネボウとか、富士フイルムとか、花王とか。食品も出して、ヤクルトとか、明治とか、雪印とかもたぶん出して、どんどん落とされて。

それで面接とか行くと、みんなの気合いが違うんですね。怖い怖いと思って…

東京に行って、面接受けてたんですけど、言ってることは面白いんですけど、普通そんなしゃべり方しないよねって思うようなハキハキしたしゃべり方だったりして…それを見て、おおおおー…ってなって(笑)

ちょうどその就活をしてる時期に、実験の結果が出そうだったんです。さっき言ってたソフトコーラルの種と化合物のタイプがリンクする、しないっていうのが出てきた時期で、研究の方が楽しいと思って。

でも、修士卒までだったら就活に対して色々と道があるんですけど、博士までいっちゃうとなかなか卒業後の企業就職はほとんど見込めなくなっちゃうし、すっごい悩みました。

引き返すなら今だっていう感じもあって…

博士まで行ってると、自分のプライドとか、今までにやってきたことの経験とかにすごく固執しちゃう人とかいると思います。

でも、会社が欲しい人材ってやっぱ多少真っ白で、これから我が社に染まってくれるような人が良いっていうところがあると思います。

さらに、博士まで行ってると、それなりに企業側もお金も出さないといけなくなるので、結構道は狭くなります。

そういうこともいろいろ悩んだんですが、最終的には、「大丈夫!行こう!」と決めて行きました。
それで今は博士3年目です。



今回は以上です!


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