2013年1月9日水曜日

宮崎県立五ヶ瀬中学校・高等学校(6年一貫教育)にかける思い―「寮生活」

前回に続き、


「宮崎県立五ヶ瀬中学校・高等学校(6年一貫教育)にかける思い」
という手記の掲載です。
(著者は五ヶ瀬中等教育学校の設立に携わった故児玉郁夫先生です)

前回までの記事はこちら↓
今回は、「寮生活」という内容です。
寮生活の様子、子の親ばなれ、親の子ばなれ等について書かれています。




<寮生活>


寮には、生活時間割以外に規則は無い。自立を求める場に規制は不要だという考え方である。自由に行動してよいのだが、集団生活を見出す行為は、生徒自らが自戒していて、三年を経た今、特に取り上げる問題点はない。

入寮当初目につくことは、それぞれの家庭の生活態度が伺えることである。それが融合し、彼等の新しい生活様式が確立されるのは、大体一学期も終る頃である。当初のリーダーは女子であり、ようやく男子がリーダーシップを発揮するようになるのもこの頃からである。

入寮後淋しさに泣く子も、男女比で見ると、大体男子5に対して女子3の割合であり、ここに少子家庭における特に男の子に対する過保護を思わせるものがある。ただ、この寮では、たとえ泣く子がいても教師は一切口出しをしないことにしてある。

「元気を出さないか」「もう小学生ではないんだぞ」などと、つまらぬことは言わない。生徒たちが涙を拭い自ら立ち上がるまで見守りながら、じっくり待つというのが先に述べた「待つ教育」の一つであり、自立を待つ寮教育の柱をなすものである。

ここで問題は、親の子ばなれがむつかしいことである。子の親ばなれは入寮後3か月位で達成されるが、親はわが子中心のエゴを引きずっていて、子どもの成長を阻害する要因になっている例がある。なお、家庭から切り離したことで、救われた生徒が数人いることは付記しておきたい。



今回は以上です。

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