2013年1月3日木曜日

宮崎県立五ヶ瀬中学校・高等学校(6年一貫教育)にかける思い―「はじめに」

新年あけましておめでとうございます!

新年明けてすぐの1月2日に、「五ヶ瀬中等教育学校卒業生と語る会」を開催しました(趣旨はこちら)。あまり時間が無い中での企画・呼びかけでしたが、卒業生、在校生や保護者の方を含めて全部で20名強のにぎやかな会となりました。

この会については、また別途報告をしていきたいと思いますが、この記事では、新年明けて一発目ということで、改めて五ヶ瀬中等教育学校の設立理念、趣旨についてとりあげてみたいと思います。

具体的には
「宮崎県立五ヶ瀬中学校・高等学校(6年一貫教育)にかける思い」
という手記を何回かに分けて掲載していきます。

この手記は、五ヶ瀬中学校・高等学校の設立に深くかかわり、宮崎県の教育長も務められた児玉郁夫先生が書かれたものです。

この手記を含め、いくつかの資料が今自分の手元にあるのですが、これらは五ヶ瀬中等教育学校の設立10周年か何かの集まりで児玉先生にお会いしてお話した後に、お手数をおかけして送って頂いたものです。

大変残念なことに、昨年児玉先生は亡くなられました。頂いた資料をデジタル化して公開することについては生前ご許可を頂いていたのですが、実際に書き起こしに取り組むと資料の内容以外にも色々とお聞きしたいことが出てきました。また、今回書き起こす資料自体も途中までになっており、続きを頂けるようにお願いすれば良かったと今さらながら気づきました。

自分が書き起こしをするのが遅れ、そういう機会を作れないままだったのが悔いが残ります…こういうことは早く取り組んでいかないといかんですね…

ただ、過ぎ去ってしまったことを悔いても元に戻るわけではないので、資料の内容だけでも広く参照できるようにこちらに掲載し、先生の想いを引き継いでいく1つの足がかりにできればと思います。

今回の記事から、節ごとに掲載していきます。なお、原文は原稿用紙に一続きで書いてありますが、書き起こしに当たって読みやすいように適宜改行を入れています。

まず最初に「はじめに」という内容です。時代背景を踏まえた上で、中学校・高校が抱える課題について書かれています。



<はじめに>
現在の6・3・3制の教育制度は、戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、相当の役割を果たしたという評価がある一方、時代の進展に対応し得ない一面も生じている。

その一つは、中卒者の高校進学率が95%前後になって、中学校には、当人の意思に関係なく、進学を余儀なくされる生徒たちと、進学校への受験競争の中に置かれる矛盾した集団が存在すること、他方その延長線上の高校でも、進路意識、学習意欲の希薄な生徒と、大学進学に狂奔する異質の集団を抱えて、呻吟しているのが現実である。

この点だけを取り上げてみても、今の中学、高校には、根本的な対策が求められる。しかも、高校進学者の殆んどは、3年後には大学その他の受験を控える。つまり、中学、高校の教育は、何らかの受験によって、3年毎に分断される6年間であるわけである。中等教育の目標である人間形成の基礎教育から、極端に言えば受験のための準備教育に収斂されてしまっていると言ってよい。

今日、中・高校が抱えるさまざまの社会問題は、これらが要因の一つをなしていると見ることができる。



今回は以上です。

0 件のコメント:

コメントを投稿