2012年9月3日月曜日

五ヶ瀬中等教育学校卒業生インタビュー - 荒武里衣さん(11) - 五ヶ瀬で経験したことと今につながっていること


五ヶ瀬中等教育学校2004年卒業生の荒武里衣さんへのインタビューの続きです。

前回は、卒業論文や修士論文についての話を聞いていきました。
今回は引き続き研究についての話の続きです。

前回の記事はこちら↓




■研究のつらさと楽しさ


―最後にちょっと視点が変わるんですが、五ヶ瀬で経験したことで今に生きてるなって思うことってありますか?荒武さんの場合は進路の話から結構リンクしてるような感じがするけど。

そうですね。あとコミュニケーションのことはすごく思います。

人って得意、不得意があるじゃないですか。中高の多感な時期って、なかなかそれを認められない時期でもあると思うんです。それが、例えばいじめになっちゃったりとかすると思うんですけど…

そこを考えるとうちの学年は、「何をする時は誰々だね」とか「これは誰々が得意だから」とかっていう意識がわりとちゃんとありました。


―NASDAの実験の時もそういう感じだったですもんね。大野さんと2人で実験して他の3人で考えようとか…

そういう感じですね。わりと、この子はここができるから任せようっていうのが結構ありました。
人に任せるのって結構重要じゃないですか。

自分がやっちゃった方が速いけど、でもいろんな後学のためとか、自分が後々楽になるためには、最初多少めんどくさくても人に教えたり、できることを任せたりとかっていうのが大事だと思います。

そういう感覚を身につけたような気はします。


―それはどういうタイミングで意識したんですか?

最初の頃は特に意識はしてなかったんですけど…でも高校の時に周りと1回そういう話をしたんです。なんでかっていうと、下の代でいじめが目立ってきてて…例えば、ネームプレートが無いとか…

すごく身近に暮らしていて、寮で生活していて学校に行ってまた寮に戻ってくるような環境で、いじめとかあると逃げ場がないので、ものすごくつらくなると思います。

もちろん、うちの学年も多少のことはありました。でも、必ず誰もが通る道で、そこを乗り越えて仲良くなれるかどうかっていうのがあると思います。

でも、下の学年は、そこを乗り越えて仲良くっていう感じがあんまり見受けられなくて、何でだろうねみたいねみたいな話を友達と軽くした時に、さっき言ってたような話が出ました。

高校生くらいで話してたと思います。高2とかになると相談しにくる後輩も来てて。


―なるほど、それは大事ですよね…卒業してからはどういうところでつながってきたと思いますか?

それは、例えばバイトとかで友達と話してても、「あの子がやるより私がやる方が絶対楽」「あの子に任せちゃうとすごい時間がかかるから私がやっちゃう」っていうことを言ってる人がいます。

そういう人は、後々自分がすごくしんどくなって大変になっちゃったりとかっていうのを見たりしてると、そういうことを思います。ダイビング部の時も似たようなことがありました。

私は自分が辛くなるのがイヤなので、わりとすぐに任せちゃうタイプです。
そんなに辛いっていうなら任せちゃえばいいのにって思っちゃいます。

でも、なかなかそれができなかったりするんですよね…
そういうのが客観的に見えるっていうのが、高校の時に話したような内容とつながってると思います。


―荒武さんは先生向いてるんじゃないですかねー。

イヤです!私頭悪いんで…


―いやーでも頭悪いのと勉強できないのは別やしね。

そのへんも最近すごく考えます。頭悪くてもやる人はやるし、要領よかったら全然問題ないですけど、頭がどんだけ良くても、学校に来なかったりとか期限守らなかったりとかする人もすごいいるんですよ。

でも、回転の速さの違いで進み方の違いをめちゃくちゃ感じる時があるんです。それはもちろん、努力で補ってきたんですけど、徐々に限界を感じてくることが最近多くなってきて…もうちょっと頭がフル回転すればとかって思います。

例えば、もっと速く英語が読めればとか、もっと速くこの計算ができるようになれば、次に速くいけるのにって思います。

当たり前にできるっていう感じの人が周りにいっぱいいて、こっちはプスプスいってるのにどんどん話が進んでその速さについていけないとかっていうのがあります。


―それはあると思います。それは否定はしないんですけど、良い先生になると思うし、良いリーダーになると思います。人に任せるっていう視点も持ってるし。

リーダーシップっていう面では、、、
実際今自分の手だけでは足りなくて、何人か人を借りて学生にやってもらったりとか、アルバイトさんにやってもらったりとかはしてるんです。

教えてそこまでは良いんですけど、このくらいはできるだろうと思って見積もったのが、できてないことも多いんです。

例えば、今まで実験しててちゃんと教えてて、次の段階に進む時に「サンプルは?」って聞くと「え、全部捨てちゃいましたよ」っていう答えが返ってきたりとか。

「なんで捨てたの?とっといてって言ったよね?」って言っても「もう必要なくないですか?」とかって言われて全部なくしちゃったこともあって…

それをフォローしながら他のことも一緒にやっていくっていうのは結構重労働で辛いです…
さっき人に任せた方がいいって言ってましたけど、やっぱり大変なこともありますよね。。

期限が決まってて、学会に応募しちゃってて、学会が何日でって決まってるのに、寸前でサンプル無くしちゃったってなると、そこから学会で発表するためには、その子の力量がどのくらいでとか考えてこのくらいまで出してもらって後は私が形にするとかっていうこともあったりしました…

そういうことを経験すると、あー先生は大変だなー、先生ってすごいんだって思いました。
この先ずっとそれを頑張っていく自信や覚悟はまだそんなにないんです…
まあでもこの先はどうなるか分かんないです。予定は未定ですね…


―でも先生なのか別のものかは分からないけど、そういうことをやらざるを得なくなった時にまとめ役としては良いと思うなー。

でも結局いくつになってもこの先どうしようとかって悩むもんですね…

昔は、20後半になったら完全に人生の事は決まっていて、就職も決まってて、働いてて…
って思ってました。でもそうじゃないですよね。


―ですね、そうじゃないです。

五ヶ瀬の人も結構いろんなことやってる人も多いですしね。同級生で花の女王になってる子もいますし。

―人生いろいろですね…今日はいろいろと面白い話をありがとうございました!







荒武さんの回は以上です!

全11回にわたってお届けしたロングインタビューでしたが、五ヶ瀬から大学時代の話、そして今の研究の話等いろんな角度からの中身が詰まった濃くも楽しい内容でした。

また機会があればいろいろお話を聞いてみたいですね。
ありがとうございました!

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