2012年5月4日金曜日

五ヶ瀬中等教育学校卒業生インタビュー - 田村康一郎さん(4)


五ヶ瀬中等教育学校卒業生インタビュー、
田村康一郎さんのインタビューの続きです。

今回は、今の仕事について、特に、開発援助の世界の現状や仕事の面白さなどについて詳しく聞いていきます。様々な国を見てきての話が特に面白いです!

前回までの記事はこちら↓


横浜の港を背にする田村さん
■開発援助の世界について

―会社に入る前と入った後で何かイメージは変わった?

そうですね…開発援助の世界っていうのも、業界的に今は変革期になっているんですね。

途上国に流れるお金の中で、公共のお金であるODAなどのお金っていうのは、割合で言えば少ない側になってきてるんです。この20年で金額としては民間投資とか出稼ぎ者の送金とかがすごく伸びているという意味で。


―それは日本がODAを減らしてるからとかではなくて?

そのような出し手側の事情もあるのと、受け手側も成長しちゃって「もういりません」というのがあります。さらに言うと、第三者が出て来たのもあります。

新興ドナー、中国をはじめ、ブラジル、韓国、それにインドも力を入れると言ってますし。そういうところもODAの出し手になってくると、供給過多になってきています。


―日本のプレゼンスっていうのは落ちてるの?

それは結構地域によってくるところもあります。そういう状況がある中で、途上国でインフラを造るということに関して、今までとは別のやり方が現実的なオプションとして増えてきているということです。


―別のやり方っていうのは?

例えば、完全に民間ベースでできることはやっちゃったりしますし、半々でやったりもします。ちょっとまた小難しいことを言いますけど、開発コンサルっていうのは今までパブリック(公共)の発注だけでやってきていてそれだけだと尻すぼみになるので、ちょっと違うやり方を考えないといけなくなりつつあります。


■仕事で面白いところ


―ところで、仕事をやっていてどういう瞬間が楽しい?

すごい身近なところから言うと、世界各国につながりができるっていうのは非常に楽しいですね。違いを見て、ここはこういう感じかとか発見したり。

例えば、中東の人を研修で東南アジアに連れてった時は、全然気候やカルチャーが合わなくてかなり大変でした(笑)


―へえ、どういうふうに?

イスラムの料理をちゃんと食べられるところに行って、肉とかもちゃんと処理してるからって言うんですけど、味付けがインドネシアのものと中東のものでは違うらしくて、「こんな辛いのは食べられない」って言われたりしましたね。


―え、辛いのダメなの?

そうですね、甘党ですから。


―へー、中東も辛党なイメージがあったけど。

いや、そんなのはないですね。そういうのとか、全然外に出る機会がない国だったらおのぼりさんみたいな感じで観光に行ったりとか。実務的なレベルで言うと、ちゃんと名刺持ってこいとか、ちゃんとノートとれとかそういう話からあるんですけど。


―そんなところからなんや(笑)どういう立場の人が来るの?

その時は工業団地の広報部長とかプロジェクトリーダーとかですね。政府系です。それに比べるとベトナムとかインドネシアとかは本当に隔世の感だなと。


―それはどういうこと?

自分の場合、海外専業みたいな感じなので、日本との比較というよりは、国の間での比較になるんですけど、お金をもってない方の中東の国と比べると、ベトナムやインドネシアは人の能力的にすごいですね。


―どういうところを見てそう思うの?

段取りとかそういうところから始まったり、ちゃんと政策的にこういうステップでこうしていけばいいというような自分たちの戦略がちゃんとあるし。お金の出し手を手玉にとってやろうというところもあります。インドとかその最たるものですし。

それとちょっと逆みたいなところで言うと、私がよく関わっているパレスチナの場合は結構逃げ口上を使って、極端な話「イスラエルがいるから俺たちはダメなんだ」と言っておけば助けてもらえるというような、哀しいことですが60年間培われてきた負のメンタリティがあります。


―日本もやばいよね。メンタリティ的にそうなるよね。おれらも物心ついてからずっと景気悪いし。なので、なんかこう上向く感じって言うのを経験しないと、そのまま次のサイクルに行っちゃうよね。不況出しとか言い訳しだすと似てるよね。

そういうところだと、伸びつつある地域は、不便なところもまだあるけど行って面白いなというところもあります。現地の人も結構勉強熱心ですね。それは、やったらやっただけついてくるという段階にあるからかなと思います。


―例えばどういう国?

ベトナムとかだと、事務所のスタッフでもフルタイムの仕事が終わった後に学校に行く人とかいます。あとはホテルの受付の人とかキッチンの人とかでもそんな感じで仕事が終わった後に自分で学校に行ったりしていて、自分はこれを勉強してこういうことをしたいっていうのがあって、頭が下がります。


―面白いね。

逆に、頑張ってもなかなかそれだけの職や労働需要がないところはまだそんなインセンティブがないのかなという気がします。アフリカや中東でやった仕事だとそんな感じですね。直観ベースの話ですけど。


今回は以上です!

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