■前回までのまとめと今回の概要
前回まで、勉強しとった方が良いっちゃないかなー
と考える理由について書いてきました。
その理由は大きく3つで、次のとおりです。
あまりオススメしませんと書きました。
今回はその理由について説明していきたいと思います。
■得「だけ」で判断するのは止めた方が良かよ
まず最初に、「得」があるからやる
という考え方を否定しているわけではありません。
ただ、「得」があるという考え方「だけ」で
取り組んでいくのは止めた方が良いというのが僕の主張です。
■モチベーション
それはなぜか。
その理由は「モチベーション」にあります。
この「モチベーション」という言葉、
今では当たり前のように使っていますが
卒業したくらいに初めて聞いた時は
あんまりピンと来てませんでしたので
簡単に説明しておきます。
これは、「やる気」とか「動機」を指しています。
つまり、何かをやるぜ!という気持ちになっているかどうか、
また、その気持ちにさせてくれるものを指しています。
■モチベーション3.0
さて、勉強する理由における損得判断の話と
モチベーションはどう関係するのでしょうか。
ここで、1冊の本を紹介したいと思います。
これは結構話題になった本なので
聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
この本の内容が参考になりますので少し紹介します。
この本では、人間のモチベーションには3種類あると整理されています。
■損得判断とモチベーション
このモチベーション3.0に関連する興味深い話が紹介されていました。
ある幼稚園において、園児に絵を描いてもらって
その反応を調べるという研究が行なわれました。
この時に、以下のグループに分けました。
この中で、1つ目のグループは
実験前より絵に対する興味を大幅に失ってしまったんです!
2つ目のグループ、すなわち、
何も見返りを最初に期待しなかったグループは
賞を与えても特に絵に対する興味には影響はありませんでした。
「「交換条件つき」の報酬
―これをしたら、あれをあげよう―
だけが、ネガティブな影響を及ぼした」(p67)
と述べられています。
人には、「新しいことややりがいを求める傾向や、
自分の能力を広げ、発揮し、探究し、学ぶという傾向が本来備わっている」(p16)
にもかかわらず、損得判断によってそれを失ってしまったのです。
この例の他にもいくつかの例が紹介されていますが
いずれも報酬が否定的な影響を与えるものでした。
以下のサイトで著者のスピーチを見ることができ、
内容もプレゼンの仕方もとても面白いので、オススメです。
ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」
■アメとムチ、報酬と処罰方式の欠陥
本の中では、アメとムチ方式のやり方の欠陥が
具体的に7つ指摘されています。
もちろんすべての場合に当てはまるわけではありませんし、
この本でも、報酬と処罰式のやり方がうまくいくケースについても
きちんと紹介されています。
ただ、大事なのは、損得だけで判断すると
自主性や創造性を失ってしまいかねないということです。
こうした能力はこれからの社会において特に必要とされるものです。
また、上の例で紹介されていたように、
今自分がやっていることと得を結びつけすぎてしまうと
結果的にやっていることに対する興味を失ってしまいます。
この話を踏まえた上で、勉強の話に戻ってみましょう。
■勉強における外発的動機と内発的動機
「得」と勉強に関する考え方として2つのパターンがあります。
に対応すると考えていいでしょう。
繰り返しになりますが、1の考え方だけを強く持って
勉強に取り組むのは止めた方が良いと考えています。
それは、そう考えることによって
勉強への意欲が悪循環に陥ってしまう可能性があるからです。
■「得」があると考えるからまた面白くなくなる
勉強がイヤなのは、なんでやっちゃう?
と考えたことはあるでしょうか?
「得」がないからでしょうか?
いえ、「得」がないと考えるからこそ面白くなくなるのだと思います。
ここで、上で長々と紹介してきた
モチベーション3.0の考え方がようやく関係してきます(^ ^)
モチベーション3.0の例では
やることと報酬を結びつけると、
そのこと自体の面白さが失われていることが紹介されていました。
つまり、何か「得」を求めるから面白くなくなるのです。
そうすると、勉強すると「得」があるからやる、という考え方こそが
勉強する意欲を失わせる元凶となっていると考えられます。
もちろん、「得」があるという考え方は短期的には
勉強の動機付けになるとは思います。
しかし、それは最大でも学生生活の間しか持たないでしょう。
先の悪循環の話を考えると、もっと早く限界がくるかもしれません。
前の記事でも述べましたが、「学び」は一生続いていくものです。
いわゆる学校での「勉強」だけでなく「学び」に対しても
意欲が失われてしまう可能性がある考え方なので
危険であるとすら言って良いのかもしれません。
これが、僕が、損得だけで勉強に取り組むのは良くない
と考える理由です。
「得」があるからという理由だけで勉強をやると
勉強そのものはどんどんイヤになっても不思議ではありません。
ただ、じゃあそうは言っても
勉強するやる気が出ない時はどうしたらいいのか、
これは結構工夫が必要なテーマだと思います。
次回はこの話をからめながら
学校教育との関係について述べたいと思います。
前回まで、勉強しとった方が良いっちゃないかなー
と考える理由について書いてきました。
その理由は大きく3つで、次のとおりです。
- 「学び」ができるようになる
- 大学や就職で「得」がある
- 人生の選択肢の幅を残す(リスクヘッジ)
あまりオススメしませんと書きました。
今回はその理由について説明していきたいと思います。
■得「だけ」で判断するのは止めた方が良かよ
まず最初に、「得」があるからやる
という考え方を否定しているわけではありません。
ただ、「得」があるという考え方「だけ」で
取り組んでいくのは止めた方が良いというのが僕の主張です。
■モチベーション
それはなぜか。
その理由は「モチベーション」にあります。
この「モチベーション」という言葉、
今では当たり前のように使っていますが
卒業したくらいに初めて聞いた時は
あんまりピンと来てませんでしたので
簡単に説明しておきます。
これは、「やる気」とか「動機」を指しています。
つまり、何かをやるぜ!という気持ちになっているかどうか、
また、その気持ちにさせてくれるものを指しています。
■モチベーション3.0
さて、勉強する理由における損得判断の話と
モチベーションはどう関係するのでしょうか。
ここで、1冊の本を紹介したいと思います。
これは結構話題になった本なので
聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
この本の内容が参考になりますので少し紹介します。
この本では、人間のモチベーションには3種類あると整理されています。
- モチベーション1.0
原始時代のモチベーション
生存のための行動(例:食欲、性欲) - モチベーション2.0
工業化社会のモチベーション
アメとムチ。報酬と処罰(例:ボーナス、左遷)。 - モチベーション3.0
現代社会に必要なモチベーション
外から与えられるものでなく内側から湧き上がってくるもの
学びたい、創造したい、世界をよくしたいという欲求
■損得判断とモチベーション
このモチベーション3.0に関連する興味深い話が紹介されていました。
ある幼稚園において、園児に絵を描いてもらって
その反応を調べるという研究が行なわれました。
この時に、以下のグループに分けました。
- 上手に絵を描いたら賞がもらえると事前に伝え、その通りに賞を与える
- 賞がもらえることは事前に知らなかったが、後で賞を与える
- ただ好きに絵を描いてもらい、賞は与えない
この中で、1つ目のグループは
実験前より絵に対する興味を大幅に失ってしまったんです!
2つ目のグループ、すなわち、
何も見返りを最初に期待しなかったグループは
賞を与えても特に絵に対する興味には影響はありませんでした。
「「交換条件つき」の報酬
―これをしたら、あれをあげよう―
だけが、ネガティブな影響を及ぼした」(p67)
と述べられています。
人には、「新しいことややりがいを求める傾向や、
自分の能力を広げ、発揮し、探究し、学ぶという傾向が本来備わっている」(p16)
にもかかわらず、損得判断によってそれを失ってしまったのです。
この例の他にもいくつかの例が紹介されていますが
いずれも報酬が否定的な影響を与えるものでした。
以下のサイトで著者のスピーチを見ることができ、
内容もプレゼンの仕方もとても面白いので、オススメです。
ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」
■アメとムチ、報酬と処罰方式の欠陥
本の中では、アメとムチ方式のやり方の欠陥が
具体的に7つ指摘されています。
- 内発的動機づけを失わせる
- かえって成果が上がらなくなる
- 創造性を蝕む
- 好ましい言動への意欲を失わせる
- ごまかしや近道、倫理に反する行為を助長する
- 依存性がある
- 短絡的思考を助長する
もちろんすべての場合に当てはまるわけではありませんし、
この本でも、報酬と処罰式のやり方がうまくいくケースについても
きちんと紹介されています。
ただ、大事なのは、損得だけで判断すると
自主性や創造性を失ってしまいかねないということです。
こうした能力はこれからの社会において特に必要とされるものです。
また、上の例で紹介されていたように、
今自分がやっていることと得を結びつけすぎてしまうと
結果的にやっていることに対する興味を失ってしまいます。
この話を踏まえた上で、勉強の話に戻ってみましょう。
■勉強における外発的動機と内発的動機
「得」と勉強に関する考え方として2つのパターンがあります。
- 「得」があるから勉強する(外発的動機)
- 「得」がなくても勉強する(内発的動機)
に対応すると考えていいでしょう。
繰り返しになりますが、1の考え方だけを強く持って
勉強に取り組むのは止めた方が良いと考えています。
それは、そう考えることによって
勉強への意欲が悪循環に陥ってしまう可能性があるからです。
■「得」があると考えるからまた面白くなくなる
勉強がイヤなのは、なんでやっちゃう?
と考えたことはあるでしょうか?
「得」がないからでしょうか?
いえ、「得」がないと考えるからこそ面白くなくなるのだと思います。
ここで、上で長々と紹介してきた
モチベーション3.0の考え方がようやく関係してきます(^ ^)
モチベーション3.0の例では
やることと報酬を結びつけると、
そのこと自体の面白さが失われていることが紹介されていました。
つまり、何か「得」を求めるから面白くなくなるのです。
そうすると、勉強すると「得」があるからやる、という考え方こそが
勉強する意欲を失わせる元凶となっていると考えられます。
もちろん、「得」があるという考え方は短期的には
勉強の動機付けになるとは思います。
しかし、それは最大でも学生生活の間しか持たないでしょう。
先の悪循環の話を考えると、もっと早く限界がくるかもしれません。
前の記事でも述べましたが、「学び」は一生続いていくものです。
いわゆる学校での「勉強」だけでなく「学び」に対しても
意欲が失われてしまう可能性がある考え方なので
危険であるとすら言って良いのかもしれません。
これが、僕が、損得だけで勉強に取り組むのは良くない
と考える理由です。
「得」があるからという理由だけで勉強をやると
勉強そのものはどんどんイヤになっても不思議ではありません。
ただ、じゃあそうは言っても
勉強するやる気が出ない時はどうしたらいいのか、
これは結構工夫が必要なテーマだと思います。
次回はこの話をからめながら
学校教育との関係について述べたいと思います。
前にも投稿させていただいた在校生です。
返信削除帰省をするたびに、拝見させて頂いています。
まだ私は未熟な1年で正直、学校の為に何をしたらいいのかとか分からなかったのですが、このブログを読むたびに、少しずつ分かるようになりました。
卒業された先輩方の思いを引き継げるようにより良い学びの森にできるようにしたいです。
コメントありがとうございます!
返信削除元々特に在校生に伝えたいと思っていることを書いているので読んでもらえて嬉しいです。
1年って中1ってことですかね?コメントの内容をみるととても中1とは思えんほどしっかりした書き方でびっくりしました(^_^;)
途中で送っちゃいました(^_^;)でも自分で自分のことを未熟とか言わん方がいいと思いますよー。人間生きてく限りはずっと成長し続ける過程におるし、そういう意味ではみんな未熟です。それぞれの形は異なるやろうけど、自分は未熟だからっていう語りをすると、自分は今はできなくてもOKというメッセージを自分に対して発してしまうことになると思います。言葉って結構力持ってますからね。
返信削除それよりも、今できることは何かとか、今やったら良さそうなことは何かとは考えて、それが自分にとってちょっと無理そうやなーと思ってもチャレンジするのをオススメします。その方が自分も成長するし面白いですよ。
ひとまずこうやってコメントするのもある種の勇気がいったでしょうし、1つの行動なので素晴らしいなと思います。
五ヶ瀬をどういう学校にしていったらいいか、そのために何をしていったらいいか、ぜひ考えて1つずつでも行動していってもらえると嬉しいです。なんせ主役は在校生の君達やけんね!
モチベーション3.0については心理学的で読み入ってしまいました(笑)
返信削除ところで勉強について飴とムチ方式ですが
これに関して言えば、小学生の子供を持つ親などが
子供に勉強させるために無意識に使っている気がします。
例えば
「今度のテストで90点以上なら好きなもの買ってやるぞ」
なんてよく聞く話ではないでしょうか?
小学校で働いていた時に
ご褒美がないと宿題が出来ない児童も見たことがあります。
まぁこの話をしていくと五ヶ瀬中等教育学校から離れますが(笑)
とりあえず勉強に関して損得でやらない方が良いと言うのは賛成です。
ただ勉強するメリットや、勉強する先にある情報を知ることは大事だと思います。
あと一番主張したいことが1点、、
モチベーション3.0で学ぶ授業こそ
「フォレストピア学習」では無いでしょうか?
自分の学びたいテーマを好きなだけ学ぶ
これができるのも五ヶ瀬中等教育学校の魅力であり
これからも守るべき授業だと思います。
ニシモト
ニシモト君、コメントありがとう!
削除「ところで勉強について飴とムチ方式ですが
これに関して言えば、小学生の子供を持つ親などが
子供に勉強させるために無意識に使っている気がします。」
っていうのはホントそのとおりやと思います。
会社だけでなく、家庭でのしつけとか教育もまだまだモチベーション2.0的な考え方から抜け出せとらんのかもしらんねー。
あと、以下のポイントはまさに僕も言いたかったことです!
「あと一番主張したいことが1点、、
モチベーション3.0で学ぶ授業こそ
「フォレストピア学習」では無いでしょうか?
自分の学びたいテーマを好きなだけ学ぶ
これができるのも五ヶ瀬中等教育学校の魅力であり
これからも守るべき授業だと思います。」
まったく同じことを考えていたので嬉しいですねー(^^)
次回あたりの記事でそのへんのことも書こうと思っています。
(たぶん勉強についての話はそれで一区切りかな)